見つけた看板は…、酷く色褪せていて。
所々塗装が剥がれている…古びたものだった。
確かに、『くまの』の文字の隣りに描いてあるのは……
パンダ。
おそらく、元はくまの絵だったのだろうけど……、ちょうど目の部分が剥がれ落ちていたせいだった。
見事に垂れ目。
それから、少し先へ進んだ所で……
青い屋根の家が、見えてきた。
真っ白な壁。
ちょっとしたテラスがある……
洋風の家。
車庫の前に自転車を置いて、
木の階段を登った先の玄関のチャイムを…鳴らした。
「鍵。………開いてるよ。」
あさっての方向から…声が聞こえた。
気づけば、テラスに出ていた早瀬が……
その、手摺りに頬杖ついて。
じっと…
こっちを見ていた。
この日は……、とても良く晴れた日だった。
「早く来いよ。」
悪戯っぽく笑う、彼の夏制服…、そのブラウスが。
その、空の色と……
とても良く似ていたから。
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