ねえ、君にもし、もう一度会えたなら。




「だから、あの子が…私に『帰る』って言った時…正直驚いたの。ようやく…我を通したって。大人になるまで…ずっと引っ越してばかりだったから、特定の場所や人に固着することなんて…一度もなかった。それが、どうして…?って。」



「………。……それは…、紗羽ちゃんのことがあったからで…。」



「……うん。でも、それだけじゃないみたい。だって…、家に沢山あったのよ?貴方達の写真!自分は写ってないくせに…人の写真ばっかり。でも…、映志もその場にいて、同じ空気を共有してたんだなあって…伝わってくるような。」



「………………。」




「……だから、……ありがとう。帰りたいと思うような、彼にとっての…居場所を作ってくれて。」



「…………。買い被り…ですよ、おばさん。」



「……え?」



「映志と俺は…、友達っていうより…むしろ、ライバルです。」



「…………。」



「お互いに、邪魔だとか…蹴落としてやろうとか、多分…イヤ、絶対に思ったりもしてました。でも……、そうやって…きっとお互いを意識して。刺激を受け合ってきたことは…事実です。だから、友情とは…紙一重…だったんでしょうね。僕にとっても、彼にとっても。居たら困るけど、居ないと始まらない。だから…、おばさん。油断しないでください。隙あらば、花嫁の心を奪ってやろうって考えてるヤツですから。」




自分で言って。


自分で…

驚いた。





高砂にいる本人に言わずして、ヤツの肉親に…

そう、宣言しちゃったのだから。



しばらく、キョトンとしていた彼女だったけど。


突然…、声を上げて…笑いだした。




「なるほど、それは…息子も焦る訳だ。」



「ん?」


焦る?


「去年の正月に帰ってきた時なんて…、結婚の話題を出しても、予定ないだの、考えてないだの言ってた癖に…。今年の正月過ぎに突然帰って来たかと思えば、彼女連れて…結婚するって言い出すから…。紗羽ちゃんがプロポーズされたその対抗心にしちゃあ…焦り過ぎかなって。これなら…納得だね。近くにライバルがいたら…うかうかしてらんないもん。しかも…、往年のライバルときた。」



「………!」



「だったら、違う意味で…ありがとう、だね。」


「…………?」



「……今日は来てくれて…ありがとう。それから、ずっといいライバルでいてやってください。結婚生活に刺激は…必要です。」