会場は、沢山の笑顔で…溢れていた。
俺みたいに、辛気くさい顔してる奴なんて…
誰一人としておらず、
これこそが……
二人が歩んできた、その軌跡だと…痛感した。
何度も何度もシャッターを切って。
俺が見る、
俺が感じる、この景色を…
写真に納めていった。
「浅沼…真哉くん?」
「……はい?」
途端に。
肩を叩かれて、ふと…振り返ると。
そこにいたのは、早瀬の…お母さん。
片手にビールを持っているところを見ると、どうやら…酒注ぎに回っていたらしい。
「すみません、チョロチョロしてて…。」
「あ…、いいの、チョロチョロしてるのは、むしろ私の方で…。……ごめんなさいね?息子のことなのに、ちっともお友達の顔もわからなくて…。さっき、恒生くんから聞いて追いかけてきたの。」
見た目とは…また、違うイメージ。
柔らかい口調で、彼女は…話し出す。
「……写真を…撮って下さってるの?」
「………。……ええ、まあ。」
「……そう。」
「………あの…、なんか…まずいですか?」
「……えっ…、ああ…、違うの!誤解させちゃった?紛らわしくて…ごめんなさい。」
「……?」
「……ただ、映志は余り撮られ慣れてないから、きっと…照れ臭いんだろうなあって。」
彼女は…ふふっと笑って。
そこで、ようやく…母親の顔を覗かせる。
「小さい頃、あまり撮ってあげられなかったから…。気づいた頃には、もうカメラ目線なんて一切しなくなってて。可愛い時期を…逃しちゃったのね。今でもきっと、そういう所…あるんじゃないかなーって思ったもんだから…。嬉しいくせに、変な所シャイなのよね。」
「……………。」
…………そう言えば…。
卒業アルバムには、たくさん写り込んでるのに…
どれも自然体で。
カメラを意識したものなんて…あったかな…。
「……ありがとうね、真哉くん。」
「……え?」
「あの子…、分かりづらい子でしょ?一見ニコニコしてるけど、なに考えてるのか…分からないとこあるんじゃない?」
「……ああ…、ええ、そう言われると。」
否定は…しないでおこう。


