「それではここで、花嫁によるブーケトスに移りましょう。受け取った方には…近いうちに、幸せが約束されると言われております。もう既に幸せを手にしている方、男性の方も…老若男女問いません!ぜひ、どうぞ皆様で、幸せを掴みに…前に出てご参加頂ければと思います。」
司会者の言葉に…
女性陣が、一気に前の方へと…集まっていく。
「ヨシ、私も行こうっ。」
理央さんが…勢いよく席を立った。
「えっ。理央さんって…、独身?!」
「………。……バツイチよ。悪い?幸せを夢見ちゃあ。」
「イエ。とんでもございません。」
「………。……あんたも行くよっ。」
「……えっ。」
「……ほら、見てみなさいよ。芳賀君に、美那子だって…ちゃっかり行ってるじゃない。」
「………。そりゃ、見上げた野次馬根性だなあ…。」
案外、参加者は多くて……
二人の前には、沢山の人が…集まっていた。
どの人が独身か、だなんて…実際には分からないくらいだった。
高校で世話になった先生達までもが…悪ノリして出て来てるんだから…仕方ない。
俺は、邪魔にならないように、端に並んで…
そのイベントを、見守る。
その、ブーケトスは。
ちょっと目新しいものだった。
花嫁…
紗羽ちゃんがブーケを持つと。
その、背後から…
花婿…、早瀬が…目隠しをするっていうスタイル。
見ているこっちが…照れる。
奴が、こっそりと…彼女に耳打ちする。
「……………?」
なーんか、たくらんでねえか?
彼女は、小さく頷いて。
それから…
勢いをつけて、
ポーンと…それを放り投げた。
カメラを構え、それを…撮っていた俺だったけれど。
それが……
どんどんこっちに近づいて来て。
どんどん…やって来て。
「…………は?」
何故か。
俺が……
キャッチ!!
「…………ノーコンかっ?!」
真っ直ぐに飛ばすほど、簡単なものはないだろうに…。
どんだけ軌道を外してるんだー!!
呆気に取られる俺に。
司会者からマイクを受け取ったヤツは…
彼女と声を合わせて言ったんだ。
「「おめでとう!」」
って。
嫌みなくらいに…息ピッタリに。
それから…
一点の曇りのない顔で笑って。
俺が、ずっと言えずにいた言葉を…
いとも簡単に、言ってしまった。


