入口の前では、二人の女性が…
招待客一人ひとりに頭を下げては、「ありがとうございます」と…、丁寧に、言葉を掛けていた。
「あ、紗羽のお母さん。」
美那子が…そちらへと、駆け寄っていく。
確かに、うっすらと…面影がある。
似てる…、目元が。
「この度は…おめでとうございます。」
恒生が、そう言うのに…便乗して。
俺も一緒に…頭を下げる。
「……ありがとう。ええーと…、恒生くんに、しんちゃん?」
「………へ?」
彼女が俺を呼ぶ、そのイントネーションと…全く同じ。
顔を上げるその途中で…、母親が大事そうに抱える、額に入った一人の男性と…目が合った。
「………。」
紗羽ちゃんの…、父親…?
「娘から、よく二人の話を聞いてたの。今日は…来てくれてありがとう。」
途端に……、
さっきまでの自分が、恥ずかしくなった。
純粋に、おめでとうと、祝うことが出来ない自分が……。
もう一人の女性は、余り…表情がなかった。
間違いなく、ヤツの母親なのだろうけど…
幸薄そうな顔で、静かに頭を下げただけだった。


