ねえ、君にもし、もう一度会えたなら。

あの時も…確かそう言ってけど。

私の部屋と比べたら…全然綺麗で。



男の人の部屋がもの珍しくて、それから…粗を探すかのようにして。みっちゃんと二人…部屋を見渡したっけ。




忘れかけていた、記憶の断片が…


僅かに…甦る。






「……何だっけ…、『男のロマン』?あれって…今も健在?」



「………。探してみれば?あるかもよ?」



「いい、遠慮しとく。」



「……アホだなー、紗羽ちゃん。もうちょっと警戒しないと。男が部屋に呼ぶってことは…、下心ゼロじゃないんだよ?」



「…………。」




背後で。
バタン、と、ドアが閉まる音がして。



君の顔が…近づいてくる。






それから。私の額へと、軽いキスを…落とす。







「「……………。」」







じっと根比べするかのように。



互いを…見つめ合うけれど。



先に折れたのは…



君の方だった 。











二人を咎めるものは、もう…何もなくて。






今日、何度目になるかも分からないキスを交わしながら…ゆっくりと、ベッドの上に沈む。




毛布を上から被せて…真っ暗闇の中で。




君の息づかいを…間近に感じていた。




君が触れた場所が、じわりと…熱を帯びて。


早くなっていく鼓動が…伝わらなければいいと、密かに…願った。





「……ちょっと待てよ?」





途端に。早瀬はひょっこりと顔だけ出して…




「……ブルー、お前、目え閉じてろよ?」



なんて…おどけて言うから。

つい、吹き出してしまった。



「ムードのカケラもねえなー。」


君は何度も髪を撫でて、ゆっくりと…服に手をかける。





……が、




ご主人様の姿が見えなくなったからだろうか…。



ブルーが、激しく吠えたてて。



私の体を這っていた唇が…不意に、離れていった。





「………。……ここ、ペット禁止なんだけど…、ブルーさん。そんなに吠えたら…退居させられますヨ?すこーし、幸せに浸らせてくんないかなあ?」


鳴き声が…ピタリと止まる。





「………いい子だ。」



再び、早瀬が覆い被さってくると。



ブルーもまた、負けじに…吠えはじた。








これには…もう、笑いが込み上げて。



気持ちよさよりも、すっかり…くすぐったさが先行されてしまった。





「……ちょっ…、紗羽ちゃん、何で笑うかな…。」



「ごめん、もー…可笑しくて!ブルー、ヤキモチ妬いてんじゃないの?」



「はあ?」


「それに…、なんか、早瀬とこーしてるの…変な気がする。この前まで、ふざけ合うような仲だったのに。」


「……。それ、ビミョーに傷つくし。」



顔に、思いっきりガーンと書いてある。






「……ごめんね、気持ちが…ついていかなくて。だから…、ね。今日はこうしていよう?」



私は恥を偲んで。


ぎゅうっと君に…抱きつく。





「…………。……あったけー…。……うん。悪くないかも。」




ごろん、と抱き合ったまま横になった私たちの上に。


ブルーがちょこん。と…乗っかってくる。





「重いわー、アホー。」




そう言いながら、眉を下げる君が…余りにも可愛くて。





「……可愛いなあー、もう。」





君の頭を、わしゃわしゃと…撫でて。…弄んだ。






「俺りゃー犬か…。」




私を抱く力が…


より一層、ぎゅううっと…



強くなった。