「……あのー……。何してるんですか?」
「人を…待ってるんです。」
「……。寒くないですか?」
「めちゃくちゃ…寒いです。」
「寒い日は、あんまんじゃないんですか?」
「………。……そうだけど…。でも、あっためてくれる人がいるから、いーんです。」
……バカだなあ、本当。
何してんのよ……。
「………なあ、プロポーズ…。返事したの?」
「……何の話でしょうか?」
「……コラ。柄にもなく真面目に聞いてるんだ。大ボケも大概にしろよ?」
「……。してきましたよ?」
「何て?」
「何て言ったと思いますか?」
「………。……何で敬語なんだよ。今更賢いフリしても無駄だぞー?」
「解ってますよ、だって…言われましたもん。大バカだって。」
「…………。」
「初恋相手に、舞い上がってるだけだって。でも、それでもいいと思うから…仕方ないでしょう?」
「………。ふーん。」
いっこうに、こっちを見ようとしない君に…。
しびれを切らせたのは、
私の方だった。
「ねえ、それ…美味しいの?」
いつか君が言ったみたいに。
君が手に持つカップアイスを指差して…訊ねる。
「……おいしーよ?」
唐突過ぎたか、キョトンとした横顔で。
少し、口角を上げる…早瀬。
隣りにしゃがんで、目深に被った帽子にもどかしさを感じながら…
顔を、覗きこむ。
「……一口、食べてみる?」
「じゃあ……、ちょっとだけ。」
途端に、ひょいっと口元に…アイスのヘラが運ばれて。
私はそれを…口にいれた。
甘い、バニラの味が…口いっぱいに、広がった。
「………。でもコレって…、間接キスになるネ。」
君は…覚えてますか?
ほとんど口を利いたことのないわたしに、
そんな…意地悪な質問をしてきたこと。
君の存在を、
色濃く…残した、あの日を。
「………。まあねー…。てか、いいんじゃん、もう。」
君は、ようやくこっちを見て。
ニヤリと…笑う。


