でも……、
この事で、俺は…気づかされた。
彼女が自然と視界に入ることは…ない。
ふと、後ろを振り返って…やっと。
その姿を捉えることができる。
だから、つまりは…
最初から意識して見ていたって…ことだ。
言い訳ができなくなったのは。
一枚の写真を…見せられた時だった。
「………。お前はいつも…何を見てたんだろうな。写真は……嘘をつかない。」
恒生が、差し出した写真に。
それが…顕著に現れていた。
俺の、最大の…失態だった。
なのに……、だ。
「……あ、遅いっすよ、早瀬先生!クジ、余った所に座ってくださいよ?」
あれから…10年経って。
部活の指導を終えて、遅れてたどり着いた…温泉宿。
宴会の会場で、後輩にあたるゆってぃーから…受け取ったクジと。
自分の席とを照らし合わせて。
「…ちょっ…、お前、交換して。」
柄にもなく、慌てた自分がいた。
何故なら…俺が持つ「8番」の隣りの席には。
彼女の姿が…あったのだから。
「……はあ?何でですか、せっかく仕組んだのに。」
「アホか!なんでまた…。」
「だって、あの人だったでしょー?高校ん時、美人マネージャーと別れた原因♪幼稚園の、紗羽先生。」
「……そんな昔のこと、よく覚えてんなー…。」
「だって、見に行きましたもん。紗羽先輩んとこ。マネージャーを振るからどんな美人かと思ったら…」
「…………。」
「可愛かったから。さり気に俺らの代のマドンナになったんスよ?」
「……はあ?」
それは…知らなかった。
「だから、いいんですか?喜んで交換しちゃいますよ?」
「…………。やっぱダメ。いーや、そのままで。つか、……手、出すなよ?」
ゆってぃーが爆笑したのは…言うまでもない。
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