ねえ、君にもし、もう一度会えたなら。

宴会は終盤を迎え…、

中締めの為、皆自分の席へと…戻っていく。





「……。あれ?」



私の左隣りには…、いつの間にか…早瀬。




「何でここ?」


「何でって…、ここ、俺の席。」


「……え!」



「嘘じゃねーよ?ほらっ。」



君は、折り畳まれた小さな紙を開く。


『8』 。



確かに…


ここの席だ。




じゃあ…、何で?

一度もここに、来なかったじゃない。





「………一応幹事だし、遅れて来たからには…それなりに働かないとな。こーゆーの盛り上げんの、俺の役目っしょ?」



「……そっか…。」



てっきり、私の隣りが気まずいからか、って…思ってしまった。



「……なるほどね。」


ゆってぃー先生の言う言葉の意味が…


今になって、よくわかる。



早瀬なりの…気遣いだったんだね。




「……まあ、もうひとつ…、理由はあるけどね?」



「…………?」



「紗羽ちゃんの隣りの席になんの、はじめてだよね。」


「……そう言えば…そうだね。」



早瀬は……いつも、私の席より後ろに座っていた。


最初と…最後。



その、2回を除いては。





「なーんで今さら隣りかな。あん時は不正しても隣りにならなかったのになー?」


「……え?」


「嘘、ジョーダン。」






校長先生が、ステージに立つと。


会場には…



『少年時代』の曲が…流れ出す。



「お。今年は…コレか。」



「……?毎年歌うの?」


「うん、校長カラオケ好きだからさ。歌で締めるんだ。」


「へー。面白いね。」




会場の全員が…立ち上がる。



ぐでぐでに酔っぱらった矢代先生が…千鳥足でこっちへと歩いて来た。



「歌うぞ、紗羽!!」


『稲守』 じゃなくて…、紗羽って。



「酔っぱらい~!」


ふらつく矢代先生の体を支えると、先生は私の肩に…腕を回した。



よくよく見ると、みんな肩を組み合って…


音楽に合わせて、身を揺らしている。




「紗羽ちゃん、俺らも。」


早瀬が矢代先生と反対側の肩に腕を回して…。



歌の冒頭部分を歌い始める。




上機嫌の矢代先生は、伴奏よりも早く歌詞を進めて…

それに惑わされながらも。



私と早瀬、二人顔を見合わせて…笑いあった。




「稲守~!お帰りー!!!」

間奏に、突如叫ぶ…矢代先生。



「わあ、矢代先生、なに言ってんですかっ!」



お陰で私は…注目の的。




早瀬は笑いを堪えながら。

「……だな、『いらっしゃい』。」




こそっと…耳打ちした。