一緒に過ごした…
穏やかな日々。
間違いなく、この人とだったら…幸せになれるだろう。
そう…、分かるのに。
君の声が…
君の姿が……
いつも、いつでも…私を惹き付けて…離さないんだ。
早瀬のことは、あまり知らない。
なのに。
ドキドキするような、未知の世界へと…
いとも簡単に、連れ出されてしまう。
少年みたいな、あどけなさを残して…
胸が、踊るような恋を。
その、癖になるような…恋を。
私は…知ってしまった。
透を選んだのは。
恒生さんが見透かしたように……、彼とは真逆の人だったから。
早瀬を…思い出さないように。
面影を…探さないように。
安心して、好きになれると…思ったから。
「……今、返事はしないで。」
「……え?」
「今すぐ振られたら、付き合った3年間が嘘だって言われるみたいで…流石に傷つく。」
「…………。」
「……プロポーズって、一世一代の賭けなんだ。だから、本気で…考えて。紗羽の未来に、俺がいることに…少しは希望を持ちたい。」
「………。………わかった。……考えさせて…下さい。」
途端に…、透は大きく息をついて。
「………ありがとう。…日本酒、やっぱり飲もうかな。」
小さく…笑みを溢した。


