「ますます冷えてきたな……。」
「…ん。」
近くのお店で、透のお土産選びをして…
ちょっと街をぶらついているうちに。
辺りはすっかり真っ暗になっていた。
「店、予約してるから…そろそろ行かないと間に合わないかも。」
「そうだね。……じゃあ、ここで待ってて。車持ってくるから。」
そう言って、体を反転させたところで…。
腕をぐいっと引かれた。
「………?透?」
「俺も行く。…少しでも…一緒に居たい。」
彼は私の前に、大きな手を…差し出した。
「……何?バッグ持ってくれるの?」
「……。持ってもいいけど…、そうじゃなくて、……手。繋ぎませんか?」
「…………。」
前なら…
そんな言葉はなくとも、迷いなく取ったはずの…手。
素直にとることができないのは…
何故?
「……手…、冷たいし、車まですぐだもん。……急ごっか。」
透は伸ばしかけた手をゆっくりと下げて…。
私の半歩後ろを、ついて歩いた。


