「へえー、サッカー部だったんだ?じゃあこっちでも続けるの?」
「もう入部届け出して、参加してるよ。」
「はやっ、てか、上手そう!見に行ってもいい?」
「どーぞ?」
何となく、視界の端っこで…彼女の、そんな姿を捉えながら…。
会話の箸休めのようにして。大して旨くもない卵焼きを一口、頬張る。
しゃべり過ぎて…
喉が、カラカラだ。
「……………。………ねえ。」
「……。へ?」
彼女が…こっちへと、振り返る。
「……ソレ。……旨いの?」
彼女…、稲守紗羽が手に持っているペットボトルを指差して…尋ねてみると。
「……おいしーよ?」
唐突過ぎたか、キョトンとしたのち…
すぐに、にこりと…屈託のない笑顔を、見せつけた。
「……一口、飲んでみる?」
「え。」
それが、まさかの…返し。
ろくに口も利いた事もないのに…そーいうの、アリなんだ?
「じゃあ、ちょっとだけ。旨かったら買ってくる。購買で売ってる?」
「自販機にあるよ。」
あっちから話しかけて来ないだけで、全然人見知りじゃあないんだ。
普通に会話してるし。
つまりは…、
俺に興味がないってこと。
彼女は、こっちに駆け寄って来ると。
『こももの天然水』を、はいっと手渡して来た。
それから、何故か浅沼真哉に目配せして…
二人で、頷き合う。


