コンビニを背に…、早瀬と二人、肩を並べる。
「……紗羽ちゃん、どっちがいい?」
早瀬は、包みを目の前に出して…
私に、そう問う。
「え…?」
「だって、物欲しそうな顔してたよ?」
「……うう、やっぱり見られてたんだ…。」
食い意地張ってるって…思われたかな。
「余りにも真剣に見てるんだもん、ちょっと可愛かった。」
「………。」
「……で、どっち?」
「いやいや、早瀬食べなよ。」
「人の好意は素直に受けとりましょー!」
「……。……でも…。」
「いーから、はやくー。」
「……ありがとう。じゃあ…。」
「「……………………。」」
えっと、肉まんにあんまん…、どっちがどっちなのかな…?
「案外、優柔不断だよねー、紗羽ちゃんは。」
「……!」
胸が…ドキリ、と音を立てた。
君は、そうやって時に…
人のココロをズバッと射抜くことがある。
君にしたら、大した意味も為さないこの選択肢が…
まるで試されてるんじゃないかって、思ってしまうのは。
痛いところとつかれたと…、暗に認めるようなものだ。
「どっちでもいいよ。早瀬、先に選んで?」
「……。」
だからかな…、
目を逸らしたくなる瞬間が…あるのは。
「……。……うん、じゃあ……。はいっ。」
早瀬は、ひとつ私に手渡して。
それから…
自分が持っている方を半分に割ると…。
「そっちも半分にして?二人だからできる…特権。」
にこっと笑った。
私も君に倣って…
同じように、半分こにする。
温かい湯気が…ほっこり。
それから、思わず綻んだ口元からも…
ふわりと、白い息が舞った。
「…なんか…、お得な感じ。」
両手に…中華まん。
食いしん坊、みたいだ。
「だろ?……懐かしーな。」
コンビニの光を背負うようにして…。
垣間見えた笑顔は、
幾分か…幼くも見えた。


