親の苦労子知らず、ってところ…かな?
「……早瀬っていやあ、同窓会、大盛況だったて?やつから聞いたよ。」
「……あ。そうだ…。先生には、ほーんと、驚かされました。」
「ははっ、俺を仲間外れにするからだ~。」
「だって、誰も早瀬の連絡先知らなかったのに…。何ですぐに教えてくれなかったんですか?」
「……個人情報保護法なり。それになあ、俺は前にここに来たとき言ったはずだぞ?うちの高校の若いの紹介するか、と…。あっさりスルーしただろ、お前。」
全く、もう……。
「早瀬のことだったんですね。」
「さあな。ちょうど、同窓会だとは…、タイミングも良かった。」
「……………。」
「………で?」
「『で?』とは? 」
「お前ら、その…何て言うか。…どうにかなったり?」
「………。特には…。」
「………。そうか。…で?」
「だから、『で?』とは?」
「あの時写真はどうした?俺に戻って来てないけど。返してと、頼んだはずだが?」
「あ……。」
そうだ……。
大切にしまったまま、返すタイミングが掴めなくて。そのままになっていた。
早瀬に…持っててもらえば良かったかな。
だけど…、幹事として代表で預かったのだから、それでは怠惰しているみたいだし……。
「……すみません、忘れてましたっ!!明日にでも学校に伺って、お返しします。あと…、ありがとうございました。みんな…すごい懐かしんでいました。」
私は、ガバッと…頭を下げる。
「真面目だなあ、お前が惚けてることぐらい承知だ。焦る必要はないぞ?……そういやあ、なあ。あの中に、一枚……青臭い写真があったな?」
「青臭い…写真?」
「すり替えられた写真。一見、教室ん中のいつもの光景にも見えたが……。あれを撮ったのは、恒生じゃないか?」
ああ……、『あの』写真のことか…。
「そうらしいです、先生、よく分かりましたね?」
「担任をナメんなよ?あいつはなあ、しれっとしてるけど…人をよーく見ているヤツだ。人よりちょっと、勘がいい。」
「……。確かに!霊感、強いですもんね。」
たまーに、ナニかとお話ししているようなときがあるもんなあ…。
「や。その『カン』じゃなくて。心霊写真じゃねーんだから。……だから…、な、あれが客観的に見たお前達の姿なんだなあ、と。」
「…………。」
「底なしのボケは…獲物が逃げる。」
「………?」
「せっかくいい『フリ』をやったんだから、上手く生かせよ?」
「………??」
「俺がしてやるのは、ここまで。なんて生徒想いなんだ、俺は。」
「………?はあ……?」
「お前らのケツは、もう青くねーだろ?むしろ、そろそろ恩返しでもしてくれんじゃねーかって…待ってるんだが?」


