生徒達からの……生の声。
きっと、男子生徒達とは、ワイワイと一緒になってバカをして…
そんな姿も引っくるめて、女子生徒からは、憧れの眼差しで見られているのだろう。
……まんまだし!
彼らの知らない、学生時代の早瀬を知ってることが。
なんだか…優越感。
ごめんね、早瀬。
こっそり探るような真似をして……。
「お前ら、人のいない所でよくまあそんな悪口言えたもんだなあ……。」
「……………?!」
その声に。
生徒達はおろか、私までもが…
体をビクッと強張らせた。
「……矢代先生…!」
皆の声が揃って。
え?っと言うように、高校生達は一斉に私を見た。
保育室の入り口に……
いつの間にやらいたのか、矢代先生。
「……メタボじゃない。……筋肉だ。」
……すみません、先生。調子に乗りました…。
先生はニカッと笑って。
「元気にやってるかー?!」
保育室に入るなり、パシャリ、と写真を一枚。
「………。……ホームページ用だ。安心しろ、稲守。お前を撮ろうだなんて微塵にも思ってないから。」
「そうして下さい。高校生の脇にはもう写れませんから。」
相変わらずだなあ、もう…。
「そうか?俺を見た時の反応だけは、生徒たちとそう変わらなかったぞー?」
「だって、先生はいつまでたっても、『先生』ですもん。」
「………。……ふーん、そっか。」
顎ひげを擦りながら、まんざらじゃないって顔してる。
久しぶりの…先生だ。


