「お疲れ様でーす。」
掃除を終えた私は、日誌を抱えて…。
休憩すべく、職員室の扉を開いた。
「………ん?」
職員の視線が…
一斉にこちらへと向かう。
「……いたわ、該当者1名。」
「あー…確かに。焦った様子もないもんねえ…。」
……………?
んんー?
陰口…?に、しては…丸聞こえですけど……。
「紗羽先生、こっちきてみー?」
紘子先生に手招きされて、その輪の中に入っていくと。
テーブルの上に広げられた、雑誌の記事を指差して…
「……こーゆうもん?」
私に意見を求めてきた。
「…………。………さあ…、どうでしょう?」
書かれていたのは……
若者の、意識調査の統計図。
それと…実態。
「初婚年齢がもう30近くって…私、こんくらいには2人目産んでたし!」
「…………。」
「結婚に興味ってないのー?今はおひとりさまブームってのがあるもんね、仕事してれば一人でも生きていけるっちゃあそうか?」
「……………。」
えーと、つまり……?
「……結婚、考えてないの?」
結婚……?
「えーと、……興味がないとかじゃないんですよ?周りは結構みんな結婚してますし…。」
「今日からの子のお母さん、同級生だっていってたもんね?」
「そーなんです。大親友なんですけど、肝の据わった母なんですよねー彼女も。」
「焦んないのー?友達の子供とか見てて…。」
「……んー…、正直、まだ…。」
「ふーん、紗羽先生も今時の人なんだねー。」
「………。……はは、そーですか?」
なんか…、嫌だな、この会話…。
アラサーで独身だと…避けては通れない道なのか…?


