これは……
遠回しの、告白…だろうか。
好きだなんて、言葉にせず、だけど……
伝わってくる。
早瀬の……気持ちが、
痛いくらいに、伝わる。
「………。紗羽ちゃん、携帯貸して。」
早瀬の大きな手が……
私の前へと、差し出される。
昔は…同じ目線だったはずなのに。いつのまにか…視線は…ちょっと上。
「………何で?」
「何でって…、しんちゃんたちとは連絡とってて、俺とはそうはできないってわけ?」
「そうじゃないけど……、なんか、嫌だなって。」
「……!嫌?……うわ…、けっこー傷つく、ソレ。」
「……あ、ごめん。そういう意味じゃなくて…。」
「……どういう意味?」
「………。……早瀬は、知らないだろうけど…。結構みんな、ショックだったんだからね。」
「へ?」
「電話…したんだ、早瀬に。GWの前だったかな…。別れて、たった…1か月くらいに。なのに、もうつながらなくて…。」
「………。電話…くれてた…?何で…?」
「用がなきゃ電話しちゃ駄目なの?ただ、元気かなって…、GWにこっちに来るのかなって…。」
「……………。」
「早瀬って…神出鬼没なトコあるでしょ?だからさ、また、あのときみたいに……」
「………さっき、みんなで…約束したじゃん。だから…絶対それは…ない。」
「言い切れる?」
「言い切れる。また水没したって、今度は…会いに言って聞くよ。だって、今度は…誰よりも、紗羽ちゃんに…近い。……職場だって…隣りだし。」
「……………。」
「………はい、貸して。」
「………。わかった。」
私は、塗料が剥げた年季の入った携帯を…
彼に手渡した。
しなやかな指先が…
数字をなぞるようにして、辿っていく。
「………よし、オッケー…。」
彼は、今度は自分のスマフォを操作すると……。
にやり、と笑う。
その顔は…、イタズラを企む時の顔。
「発信履歴に俺の番号残ってるから…掛けてみて。」
「……今?……何で?」
……嫌な…予感。
何か、企んでる…?
「……いーから!祝、オトモダチ復帰記念に!」


