今日、何時間も…
同じ空間にいたのに。
早瀬が横に並んだのは…、
ほんの数分だけで。
これが……その、3度目。
昔から、彼と二人きりになる機会は…そう、多くはなくて。
いつも誰かしらが……側にいた。
私と違って…隙がない。
その、タイミングを図るのは、いつも…早瀬の方だった。
気づくと、
何とも自然に…
隣りにいるのだ。
「…………。」
今日交わした会話は。
これまで以上に……
私を惑わすものばかりで。
忘れようにも…忘れられず。
片時も、頭から…離れてくれない。
一度目は……
居酒屋で。
お互いに零れ出した「好き。」のフレーズ。
旧友達の会話に掻き消されるくらいに小さなこえだったけど……
聞き間違いでは……ない。
二度目は、バーで。
『覚えてるよ?紗羽ちゃんのことなら、大概。』
どうして……?
『見る度に…紗羽ちゃんを思い出してた。』
どんなことを?
『女の人にはこのカクテルは…作ったことはないよ?特別な思い入れがあるから。』
早瀬は口が上手いから、そんなことも…さらりと言ってのけるけど。
気づいて…いるだろうか?
再会直後よりも、もっともっと…。
私が……大きな緊張を抱えてるって。
早瀬と二人きり……。
その三度目は…。
帰り道。
私たちには……タイムリミットがある。


