満天の星空が……空一杯に、広がっていた。
何処からか、虫の音が…耳に届いてきて。
夏の終わりを…知らせているかのようだった。
「嫁が迎え来てくれるから、俺、しんちゃんとこも…送ってくよ。」
「……しゃーせーん…。(すみませーん)」
早瀬の肩にもたれ掛かったしんちゃんは、目を閉ざしたまま…片手を上げた。
「早瀬も乗ってくか?」
「………。俺…?俺は、」
「紗羽は?」
早瀬の返事に被せるようにして。
みっちゃんが……
私に問い掛ける。
「歩いて10分もかかんないし、私は…」
「「歩いて帰るよ。」」
ん?
声が…
重なって。
早瀬と二人、顔を…見合わせる。
「……わかった。利央は?乗ってくでしょ?」
「もち。お願いしゃーす。」
夜風が……ざざあっと、木々を揺らして。
私たちは…
立ちどまる。
「…………。幹事…、ご苦労様。人もいっぱい集まったし…最高に楽しかった。……大成功…だな。」
恒生さんが、諭すようにして……
一人一人の顔を、ゆっくりと…見渡した。
しんちゃんは、項垂れたまま、コクコクと…頷いて。
私とみっちゃんもまた…、力強く、頷いた。
「………では、〇〇高校の更なる発展と、今日御参会の旧友達のこれからの活躍とご多幸を祈念して…。一本締めで、締めたいと思います。」
会の幕開けと、
幕閉め…。
美味しいとこどりの恒生さん。
「……では、お手を…拝借っ。」
輪になった私たちは、両手を広げて。
静かに、その時を…待った。
「………。」
「「「「「………………。」」」」」
「………………。」
「「「「「………………………?」」」」」
「……ぃよ~おッ!!」
ポン!!!
溜めるに溜めて。
何とか一つになった音は……。
高く、高く…空へと響いて。
夢のような一時から、現実世界へと……
引き戻していった。


