「もー…、最初からそう言ってよ。」
悪戯っ子…、健在!
私は、早瀬の肩を…軽く小突いてやった。
「まあ、いいじゃん。飲んでみてよ。」
彼に促されるままに、一口…こくりと飲んでみる。
……甘い。
クラスの縁に付いた結晶は…どうやら、砂糖らしい。
爽やかな…後味。
甘いけど、スッキリした味わいだ。
「……。どう?」
「…美味しい。コレ、何入ってるの?」
「ホワイトリキュールに、ライムジュース。」
「……。聞いといてなんだけど…、詳しいね?」
「ん。学生時代、バーテンダー経験してるからね。」
「……えっ!」
「意外?」
「……いや…、似合いそうだけど…。……で、なんでこれが私に似合うって?」
「……。や、余りにも衝撃的でさ。」
「………?」
「昔…カラオケ行った時に、紗羽ちゃんが熱唱してた。十八番が、まさかコレだなんてさ…。」
「……『コレ』?」
「覚えてない?恒生と一緒に、演歌オンパレードだったじゃん。」
「…………。石川さ〇り?」
「違う。」
「坂本〇美?」
「……違う。」
「ああ、氷川き〇し!」
「どんだけレパートリーあるんだよ。」
「……。じゃあ……なに?」
「………。このカクテル見て、何をイメージした?」
「…………。………?」
「……ヒント、『冬』。」


