「……サワ、……さ~わ~……?」
夜が更けて。
男子部屋で、スースーと……
寝息をたてる女がひとり。
「………。お~い……、紗羽ちゃん?」
鼻先に、ちょん、と触れてみると。
イラついたようにそれを払いのけて…
寝返りを打ってしまった。
「熟睡じゃん。も~…早瀬くんが悪戯するから……。」
寝ている紗羽の親友、美那子が……彼女を揺すり起こそうとするが、ピクリともしない。
「………。酒入ってるのに気づかない方がすげーよ。ってか、修学旅行だし…無礼講。まだまだ楽しく行かないと。…チャンスチャンス。」
「…………?」
気分がハイになっているせいか……
タガが外れた俺たちには…
悪戯心に火が付いて。
無抵抗の人間に……
かわいい化粧を施す。
「……ぶっ……、明日の朝イチの反応…めっちゃ楽しみ。」
誰がしたのかは……
秘密。
仏様のみぞ知るっていう設定。
「責任もってサワんとこ部屋まで連れてっよ~?」
美那子にそう促されて。
俺はずっしりと重たくなった彼女をおぶって……
部屋を出て行った。


