“思っていた” 過去形だ。 もう此れからは思わない。 否――――思えない。 夜行性で夜の蝶々のように輝く姉の姿を、もう拝むことは出来ないから。 この海の近辺には“向こう”とは比べ物にはならないくらい質素な場所だと、車の窓から、流れ行く景色を見て思った。 コンビニもない、ゲーセンもない、大型ショッピングモールもない、カラオケ店もない、かなり娯楽には欠けている場所だった。 姉じゃなくとも真麻さえ『キツすぎる』と溜め息を付いてしまうようなところ。