Hair cuts

雪明りに浮かぶ浩人の体は、外の雪景色よりも白く見える。まるで浩人自身が発光している様に、暗がりの中で鈍く光っている。髪の毛のせいかもしれない。白のメッシュがたくさん入った浩人の髪の毛は、遠目から見るとまるで老人の頭のようだ。

くしゅんと浩人がくしゃみしたので、あたしは慌ててカーテンを閉じ、浩人の寝ているベッドにもぐりこんだ。

暖ったかい。でも、寒い。

髪の毛に触れるとごわごわした。乾いて干からびた、まるで安っぽいカツラのような感触。その刹那、ぎゅっと抱き寄せられた。起こしてしまったのかと思ったら、浩人は相変わらず健やかな寝息をたてている。浩人の細長い腕と足が蔓のようにあたしの体に絡みつき締め付げる。

ちょっと苦しい。でも、幸せ。

あたしのおでこに浩人の顎がのっかるようにくっつけているから、浩人の表情は見えないけれど、きっと無防備な顔をして眠っているんだろう。

お前が側にいると安心すると浩人は言う。その代わり、離れていると不安でたまらなくなる、とも。

浩人と付き合ってから七ヵ月と少し。この期間が長いのか短いのか、あたしにはよくわからない。

でも、これだけはわかる。これからもあたしたちはずっと一緒にいる。きっと浩人が死んだらあたしは死んでしまう。そしてあたしが死んだら浩人も死んでしまう。