Hair cuts

そういうわけで、必然的にさくらとの約束は後回しになっていた。学校で会い、放課後、アルバイトまでの時間ファーストフードで会うのが精一杯。しかも、浩人と愛華も含めて四人で会うのが暗黙の了解だ。少しは気を使えよと思わなくもないのだが、四人でいるのは楽しかったし、さくらも不満そうではなかった。

俺とさくらが一度も二人きりで遊んだことがないのに対し、愛華と浩人はいつも一緒にいた。愛華の祖父母が浩人を気に入っていて、食事をご馳走になったり、時々は泊まりも大丈夫なんだとか。結構甘いんだな。もちろん、浩人の家は自由放任主義だから、ある意味、良家公認の仲なわけだ。

それに対してさくらの家はなかなか厳しくて泊まりはもちろんのこと、夜も門限があるらしい。まぁ、バイトの後遊ぶのは体力的にもきついから別にいいけど。

浩人から愛華の家は結構緩くて、しかも泊まりOKと聞いた時、俺はそっこう「ってことは、もうやっちゃった?」と聞いた。「当たり前だろ」と浩人は答えた。相変わらず手の早いやつ。そう思ったと同時に、あの大人しそうな愛華がねぇ、人は見かけによらないなとも考えた。すかさず浩人が「ちゃんと処女だったぞ」と付け加えた。