「俺と愛華は、浩人を裏切ったんだ」

そう遊里に言われたとき、私は、その意味を理解することができなかった。そんな私の気持を悟った遊里は、今度ははっきりと告げた。

「俺は、愛華と寝た」

頭の中が真っ白になって、その後、すぐに猛烈な怒りに体中が支配された。

「どうして?どうしてよ!」

彼らを責める権利など無いと言う事は重々承知だった。時期的にも、私と遊里は別れた後で、三人から遠ざかった私が、今さら仲間面して悲劇のヒロインを気取るなんてお門違いもいいところ。それでも、道徳的に考えれば、二人の行為がいかに間違ったものかということぐらいはわかる。何より、親友だと思っていた愛華と大好きだった遊里が抱き合っているのを想像すると、嫉妬や、憎しみの感情が波の様に押し寄せて止まらなかった。

「お前がいなくなってからの俺たちの話をしよう」

私が感情を爆発させるのを待ちかねていたように、遊里は穏やかに話し始めた。