恋したvampire

“ Beginning of love ” (恋の訪れ)


さっき、確かに彼は言った。


あたしの為に弾いてくれた曲。


それにこんな題名をつけてくれるなんて……。


一瞬の期待が胸をよぎる。


少し期待してもいいのかな…?


彼もあたしのことを受け入れてくれてるって……。


でもそんな期待は、一瞬にして消え去り、不安と言う2文字に変わってしまう。


「……っ…」


あたしの目に飛び込んできたのは、テーブルの上に飾ってある白いバラ。


そして突きつけられる現実。


あたしは鏡に映る自分の姿を見た。


鋭く唇から覗く牙、赤く光る大きな明らかに人間ではない瞳。


そう、あたしはヴァンパイア。


決して人間とは恋に落ちてはならないの――。


もし、このままタブーを侵したら……なんて、今は考えたくない。


今はただ……


あの不思議で謎な、優しく安心する彼のそばにいたいだけ…――。