*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

そのあと兼親と芳正は、汀を交えて差し障りのない世間話をして、しばらくしてから立ち去った。








(………いったい、何だったのかしら)








汀は首を傾げながら、几帳の陰から出て来た。





露草が白湯の入った杯を差し出す。








「ーーー姫さま。


流れるように見事な応対とお琴でございました」







「まぁ、ありがとう、露草。


それもこれも、露草のおかげね」







「いえ、滅相もございませんわ」








露草は慌てたように否定した。








「まったく姫さまときたら、どんなことでも、筝でも手習いでも、お教え申しあげるとすぐにご自分のものになさって………。


ほんに、いつも驚かされておりますわ」








「あら、お褒めにあずかり光栄ですわ」








汀はおどけたように露草に微笑みかけた。