*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

しばらく黙って待っていると、重たげな足音が聞こえてくる。







(あぁ、父上の足音だわ。



それに、他にもーーー)








耳慣れない足音に、汀はかすかに緊張する。







「六の君よ、邪魔するぞ。


露草、御簾を下ろしてくれ」







「は、はいっ」







兼親は廂に腰を下ろし、御簾ごしに話しかけてきた。







「六の君よ。


客人を連れて参ったぞ。



大納言であらせられる、大槻芳正(おおつきのよしまさ)殿だ」








突然の客人の訪問に、汀は首を捻る。





その理由が気にはなるが、とりあえず対応しなければならない。