*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

「あぁ…………」







汀はしっとりとした吐息を洩らす。






顔を覆っていた手を下ろし、白皙の相貌をゆっくりと上げた。






真昼の白い光が、汀を真っ直ぐに照らす。






その肌の美しさ、大きく見開かれた杏形の瞳の深い青に、灯は目を奪われた。







思わず呼吸の止まった灯に、汀はそっと微笑みかける。








「…………ありがとう」







「……………?」







「ありがとう、灯」







「………………なぜ?」







「私の名を、訊ねてくれてーーー」








そんなことに感謝をされたことに、灯は戸惑ってしまう。






どう返せばよいのか分からずに、ただ押し黙っていた。