*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

汀は目許を微笑ませたまま、ばっさりと肩の辺りから断ち切った髪をぱらぱらと地に落とす。





そのまま次の房を手に取り、それも迷わず切り落とした。






その動作を数回繰り返して。







「………あーっ、すっきりした!!」







すっかり軽くなった頭を振って、ぱっと灯を見上げた顔は、なんとも晴れ晴れと輝いていた。




その屈託のない明るい表情が、よく晴れた空のような瞳の色にぴったりだと、灯は思う。






「ーーー思い切ったな………」






せっかくきれいな髪だったのに、という言葉は飲み込んだ。





すると汀が不思議そうに首を傾げる。






「………え?


別に、思い切ってなんかないわよ。



だって、私、長い髪に思い入れなんてないもの」






それを聞いて今度は灯の方が怪訝そうな顔になる。