*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

「頭やら背中やら腹やら、これでもかといじりまわされるし。



怪我が全快していないというのに枝を投げて走らされるし。



嫌がって無視をすると水を飲ませてくれなかったからな………。


仕方なくつきあってやったら、馬鹿みたいに喜んで。



さらに遊んで欲しそうに見てくるから、大変だったぞ、あの時は」






「まだ子どもだったからねぇ」






「今も全く変わっていないがな」






「そんなことないわよ!」






「いや、この前の矢傷の時だって、俺はお前に振り回されっぱなしだった」






「んまぁ、ひどい言い草ね」





「本当のことだから仕方がない」







睨みつけるふりをする汀を、灯は穏やかな表情で見つめた。