*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

袴を上げられないようにしっかりと押さえながら、汀は灯の膝上あたりを凝視している。






「…………おまっ、なに考えてんだ!!」






「……………やっぱり」







灯の脚を見つめながら、汀が納得したように何度も頷く。






「なんなんだ、いったい!?」






誰か助けてくれと言わんばかりの灯に構うことなく、汀はその脚に手を伸ばし、無遠慮に触れた。






「…………っ!?」






灯が目を剥いて見てみると。





汀が優しく触れているのは、膝のすぐ上にある、大きな古傷だった。






「…………それ、は」






ごくりと唾を飲み込み、灯が掠れた声で呟く。