*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

汀のどこか明るくもある表情を見ながら、灯がぽつりと言う。







「…………白縫山の連中は。



親に恵まれない奴が多いんだ。


母親を知らず、心の内で恋しく思っている者もいる」








「そうなの………」







「だから群雲は、白縫村に住む皆を、家族だと思っている。


親に捨てられた子どもがいれば、代わりに育てられる奴を探してやる。



四つ子もそうだ。


あいつらは、ちょうど同じくらいの時期に山の麓に捨てられていて………。


群雲が見つけてきて、面倒見のいい檀弓に任せたんだ。



だからあいつらは、血の繋がりはないが、どんな家族よりも深く信じあっている」







「…………そう」







いつになく饒舌な灯の言葉を聞き、灯はくすりと笑った。







「…………私を励ましてくれてるつもりなのね、蘇芳丸」