*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

汀の瞳が大きく見開かれた。




月を眺めながら語る母を、じっと見つめる。







「月を見るとね。


魂を、奪われちゃうんですって」







答えない汀に、母はそっと視線を移す。






「…………本当よ」






灯は汀の顔を覗き込み、その肩に置いていた手をあげて、髪を梳くように撫でた。






「かぐや姫の物語にも、光源氏の物語にも、ちゃぁんと書いてあるんだから」






母の言葉に、汀は口許を両手で覆って何度も頷いた。





母は満足そうに笑い、言葉を続ける。






「あなたたちには特別に、教えてあげるわね………」