*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

うっとりとしたような言葉に、汀はこくこくと頷く。






「…………えぇ。


お母さま、あなたが愛してくださった、薄花色の瞳ですわ………」







涙に滲んだ声音に、しかし母はゆっくりと首を傾げる。







「…………まぁ、あなた。



私はあなたのお母さまではないのよ。


私はまだ子どもだから夫がいないし、子を産んだことももちろんないもの………」







微笑んでいた青い瞳が、驚きに瞠られる。






「…………え?」







汀は色を失った顔で呟いた。







「…………おかあ、さま?」








母はゆったりとした動作で身を起こす。





そうして、首を傾げて汀の顔を真っ直ぐに覗き込んだ。