*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

(まぁ、本当に、困った御方だわ)





汀も溜め息をこらえきれなかった。





群雲はさらに続ける。






「右大臣殿も、春宮殿下に無事入内させたはずの自分の娘が消えたとあってはなぁ。



全力をあげて都中を探させているそうだ」







「まぁ………都は大変なことになっているのねぇ」







どこか他人事のように感想を述べる汀を、灯は呆れたように見つめた。





そうして、今度は群雲に向き直る。






「しかしそんな状態のままでは、せっかく白縫山まで逃れて来たのに、いつまで経っても落ち着かないな」






「うん、そうだな。


いつここが知られるとも限らないしな。


やはり早めに手を打つべきだろう」