*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

「そんな無駄話はいいから、早く本題に入れよ。



なんで俺とこいつを呼び出したんだ?」






不機嫌そうな低い声で言う灯をにやにやと見つめながら、群雲は口を開く。






「今朝、人をやって都まで聞き込みに行かせたんだが。


どうやら、春宮殿下と右大臣殿が、それぞれに血眼でお前たちのことを捜索させてるらしい」







「……………まぁ」







汀は目をぱちくりとさせた。




内裏から逃げ出して、すっかり全てが片付いたつもりになっていたのだが、どうやらそうではなかったらしい。







「春宮殿下は俺たちが白縫党だとは気づいていないようで、とにかく赤い髪の男と青い瞳の姫を探せ、と言っているようだ。



二人まとめて大事なお宝に加えようと必死らしい」






「……………」








灯は呆れ返ったように肩を竦めた。