*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

灯の反応を見れば、一目瞭然だった。





「うそぉ〜………そんな前から………?」





小桃は衝撃を隠しきれず、動揺したように呟く。




灯は気まずそうに目を泳がせていた。






そんな二人を見ながら、汀も驚いて目を丸くしている。







「………え? どういうこと?


青丹丸はあの犬の仔で………蘇芳丸が引き取って、名前をつけたの?



………その青丹丸が、あなたが去った後すぐに、たまたま父上のお邸に迷い込んだ………?」







汀の言葉に、灯は往生際悪く弁解を試みる。






「…………あぁ、たまたま、だろうな」






しかし小桃がすぐに反論した。






「そんな偶然あるわけないもん!!


灯、この人のためにわざわざ青丹丸を都まで連れていったんでしょ!?」







「……………」







灯は諦めたように、ふぅ、と小さく溜め息をついた。