*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

灯は溜め息をついて松原の向こうを示した。





「糸萩。皆が来てくれた。


この間に大内裏の外に出てしまおう」






「大丈夫かな、楪葉たち………」






「群雲も三人衆もいる、心配ない」






「うん、そうだねっ」






灯は糸萩に頷きかけると、汀を見下ろした。






「行くぞ。今度こそ大人しくしといてくれよ、頼むから」




「…………はぁい」







灯が汀を連れて駆け出すと、糸萩はにっこりと露草に手を差し出した。





「行こ、露草さん!」





「あ、はい………」






露草は遠慮がちに糸萩の手をとり、ゆっくりと走り出す。