*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

灯はしばらく様子を見ていたが、春宮たちの注意がこちらから完全に離れたのを確認し、ひらりと枝から飛び降りた。






「きゃっ!!」




「………少し黙ってろ」






小さく叫んだ汀の口を手で塞ぎ、そのまま松原の奥へと駆け出す。





やきもきしながら待っていた糸萩と露草、そして青丹丸が、ほっとしたように駆け寄ってきた。






「灯ーー!」




「姫さまーー!」




「わんわんっ!」






灯は汀を降ろし、糸萩の頭に手を乗せる。





「糸萩、待たせたな」




「遅いから心配したよ!」




「すまん………すぐに片付くはずだったんだが………」






そう呟いた灯からじとりと見つめられるが、汀は口笛を吹いて誤魔化す。