*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

汀が今にも春宮へと引き渡されそうになっていた、その時。






一本の矢が、目にも止まらぬ速さで宙を切り裂くように飛んできた。






(……………!!)






その音をいち早く耳で捉えていた灯は、男たちが矢に気づく前に、すでに動いていた。





汀のほうに気を取られている男たちの鼻先を矢が掠める。






「ーーーーーわっ!!」






男たちが驚いて矢の行く先に目を向けた瞬間。





風のような速さで駆けてきた灯は、背後から彼らの脚を払った。





「わっ、いたっ!!」




「なんだ!?」





訳も分からず地面に転がった男たちから汀を奪い取ると、灯は汀を抱えたまま飛び上がった。