*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

「………あら、つかまっちゃった」





汀が目を丸くして呟く。




灯はぐったりと脱力した。






「………どぉーして、お前はそう余計なことばかりしでかしてくれるんだよ………」






げんなりとした調子の言葉に、汀が不服そうな表情になる。






「ま。あんまり蘇芳丸の帰りが遅いから心配したんじゃないの」





「あそこで待ってろと言ったろう!?」





「あら、言ってはいないわよ。


確かにそれらしい仕草はしてたけど、はっきり確証はなかったし」





「屁理屈をこねるな!!」








そんな言い合いをしているうちに、汀は男たちにぐるりと囲まれて、春宮の方へと連れられていく。






灯が男たちを睨みつけ、今にも飛びかかりそうな体勢になっているが。



男たちは警戒心を剥き出しにして、武器を構えてじりじりと移動していく。





灯は思うように近づくこともできず、小さく舌打ちをした。