*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

(………あの、阿呆!!


またいらんことを………っ!!)






灯は慌てて視線を送り、早く戻るように念を送った。




しかし、いくら念じたところで通じるわけもなく、汀は手をぶんぶんと振りながら駆けてくる。






みるみる距離が縮まってくるので、灯はとうとう叫んだ。






「………馬鹿、戻れ!!」






その声に、男たちが後ろを振り返る。





すぐに汀が目に入ってきた。




春宮も気がつき、「捕らえろ!」と指示を出す。






「……………あ」







汀は初めて春宮がいることに気がついて、足を止めた。





しかし、その時には既に舎人たちに囲まれてしまっていた。