*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

「あぁ、なんということだ………。


永らく夢見ていた松原の鬼との遭遇を、とうとう果たすことができたのだ………」






感極まったように声を震わせ、春宮は灯をじっと見つめる。







「しかも、世にも珍奇な赤き髪ーーー。


なんと素晴らしいことよ!


ぜひとも私の宝物庫に並べたい!!」







「………………」







自らの夢想に陶酔したような様子の春宮を、灯は不気味な妖怪でも見るように眺めていた。





じりじりと近づきながら手を伸ばしてくるので、灯はさっと飛びすさる。







春宮は慌てて舎人たちを振り返り、灯を指差した。






「ーーーーーお前たち、この鬼を捕らえろ!!



ただし、この美しき髪だけは決して傷つけてはならぬぞ!!」







「御意!!」