*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

「おぉ………なんという色の髪だ!」





「……………」






春宮がじりじりと近づいてくるのを、灯が気味悪そうに眺める。




舎人たちも気勢を削がれたように、武器を下ろして春宮の様子を見ていた。




春宮の目は爛々と輝いて、真朱の髪に釘付けになっている。







「………おぉ、そなたはもしや………。



宴の松原に住まうという、伝説の鬼ではないのか!?」






「…………………はぁ??」






「そうだ、そうであろう!?



麗しい見目と、異形の髪………。


まぎれもなく、そなたは鬼だな!?」






「……………」






興奮したように語る春宮を、灯は後退りしながら怪訝そうに見つめ返した。