*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

灯は青丹丸を汀に渡し、一人で松原の外に向かう。





春宮と舎人たちが灯の姿に気づき、男たちは武器を構えた。






前に立った三人の弓が引き絞られる音を聞き、矢が放たれた瞬間に灯は高く跳び上がった。




その足下を矢が飛び過ぎていく。





その時。



松の枝が頭巾に引っかかり、はらりと灯の髪が零れだした。







暗い松原の中で、真朱(まそお)が燃え上がる。






ひらりと着地した灯の髪が、篝火のようにふわりと風に揺れるのを見て、春宮は息を呑んだ。








「…………なんと!!」







魂を奪われたように、そろりと灯の方へと足を踏み出す。