*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

正門から南の方角へと歩いて行くと、右手に宴の松原が見えてきた。






「………人目を忍ぶために、林の中を行くかもしれないな」






そう独りごちて、春宮は松原の方へと足を向けた。






温い風が吹き、ざわざわと葉の騒ぐ音がする。




なるべく足音を立てないように近づいていくと、乱立する松の樹の奥に、鮮やかな色彩が見えた。







(…………いる)







汀の着ていた衣装の色だった。






春宮は静かに振り返り、向こうから駆けてくる舎人たちに合図をした。