*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

「私の妻が………栄耀殿の女御が、ならず者に攫われた。


なんとしてでも見つけ出せ。



………盗人は殺してもよい。


とにかく女御をーーー青き瞳の姫を、私のところへ連れ戻すのだ」







「御意!!」







春宮舎人は慌てて仲間たちを呼び集めた。





その間に春宮は沓(くつ)を履き、瑞雲殿の外へと出た。





内裏の中は、ひと気がなく静まり返っている。






(………衛士たちは一体、どこで何をしているのだ)






苛々としたように足音が高くなる。





目的の人物たちのいる気配もないので、内裏の正門から外へ出て、大内裏へと移動した。