*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

「………あの。どちらへ向かうのですか」






「白縫山だよ、決まってるだろう」






「えぇぇっ、白縫山………っ!?


恐ろしい盗賊たちが住むという!?」






すると糸萩が可笑しそうに声を洩らした。



露草の方を見て、人懐っこい笑みを浮かべる。






「おそろしい盗賊?


そんなことないよ、みんな優しくて面白くて頼もしい人ばっかりなんだから!」






「そうなのですか………」






露草は目を見張って呟いた。




たしかに、灯も糸萩も、冷酷無情な恐ろしい盗人、という印象には程遠かった。







「………それなら。


わたくしを、姫さまのお供として………連れて行ってくださいますか」






「もちろん!!


仲間は多いほうが楽しいもの!!」






糸萩は茶色がかった巻き毛を揺らし、露草を安心させるように大きく頷いた。