*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

そのとき、突然うしろから明るい声が聞こえてきた。





「わぁっ、これが灯のお姫さま!?」





耳慣れない声に、汀がくるりと振り返る。





きらきらとした瞳で、じいっと汀を見つめているのは。





「糸萩。見張り番、ご苦労さん」





灯が声をかけると、糸萩が嬉しそうに笑った。






「ほんとに青い目なんだね!!


とってもきれいだ!!」






「……………」






「まぁ、ありがとう!


ええと………糸萩くん」







灯は押し黙ったまま答えなかったが、汀は愛想よく糸萩に笑いかけ、その手を握った。






「これからよろしくね、お姫さま!!」




「え? えぇ、よろしくね……?」






これからよろしく、の意味はよく分からなかったが、汀はとりあえずにこにこと頷いた。